気まぐれノベルズ5 〜天空の花嫁〜 

 


俺はまた2003年を頑張って生きていこうと思ったのだ。 

大雪が降る新潟へ辿り着き、 
俺はとうとうアパートまで戻ってきた。 

悲劇は待っていた。 


マイナスの空気の中凍りついたアパートのドアノブは何故か鍵を回し、

鍵のずれる音を聞きながらも、開いてくれない。 
逆に回しなおす、そして開く。 
僕は何となくくらいにしか疑問を抱かず、家の中へ。 

何故か風呂の戸も開いていた。 
不思議だ。 

とにかく今は午前5時。 
夜行バスではほとんど眠れなかったので早くベッドに入りたい。 
そんなベッドの上に、しまっていた小物達がぶちまけられていた。

そう思いながら少し右へ視界をスライド。 
買って一ヶ月も経たないパソコンが消えている。 
ようやく嫌な予感に気づき、さらに右へ。 

か、壁にかけられた俺の宝、fender USAのギターも無い!! 
そうだ、パソコンの周辺機器も無い。スーツが二着とも無い。 

そうか、これは空き巣だ。 

しっかし俺、普段めちゃめちゃ部屋を汚くしてて、

何処に何があるかもわからない暮らししてたのに、

こういう時はすごい。まともだった頃の風景が脳に焼きついている。 
そしてぐっと視界は左へ行く。 
戸を外してある押入れは俺の物置場。 
大丈夫、俺の最後の宝、大学時代から集めた大好きなCD達… 
はありませんでした。 
200枚くらいあったでしょうか。 
初めて買った、サードアイブラインドとソニックユースも。 
好きな人に影響されたスマパンも、 
レイジ、スーパーカー、ジョンスペ、ロイヤルトラックス、ROVO、モグワイ…

いろいろ俺の好みも変遷してきたなー的ライブラリが消え去っている。 

の、残ったのは…X、hide、小田和正、佐野元春…そして槙原敬之「君は僕の宝物」。

マッキー、俺はその言葉を君に返してあげたい。 

よ、よし、警察を呼ぼう! 
そして警察が来る間、とりあえず親へ電話。 
そうしながらマッキーを聴いて落ち着こう。 
もう恋なんてしないを聴いて、

紅茶の在り処がわからない甘ったれた男の切ない気分になろう。

あと、もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対、ってどっちなんだよ!?って

突っ込みを入れてー、そして、 

強く雨が降った 次の日にはもう 
陽だまりが居る時のよに 
君をいつでも安心させるよ 
だって君は僕の宝物 

というくだりで、俺は泣こう。 


と思ったがコンポが…あった! 
しかしこのコンポは故障のためCDもMDも聴くことが不可能。 
だからDVDプレーヤを買ってきて繋げてたんだな… 

DVDプレーヤは、無い。 

俺は忘れない。ストーブをつけた時、温度計は1℃を表示していた。 
やがて警察が来て指紋を取ったりした。 
屈辱だったのはあれだ、証拠写真撮影。 

例えばギターの掛けてあった柱を俺は人差し指で、 
「ここにあるはずのギターが無いのですよ」 
という哀願満ちた目で一緒に写真に写らなければならなかった。 

そして警察に対し、俺は人としてありえないようなことを口にした。 

「絶対俺の友達が犯人です」

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